自然に囲まれたNY北部に住む日本人が、現地の習慣や価値観等、日本とのあらゆる違いを紹介します。アメリカ留学、移住、旅行等、アメリカに興味のある人向けです。

アメリカで男ができないと格好悪い事とは

私が住むアメリカの家の、その隣人たちを見てよく思うのは、彼らは日曜大工が実に上手である。家のペンキ塗り、電気配線の修理、水道配管の修理、私道のアスファルト、コンクリートの塗装、木や花の園芸、自動車修理、機械いじり、屋根の葺き替え、壁の塗り替えなどを自分で行う人が多い。隣の中年男性は、増築をするにあたり、業者を一人減らして自分が参加し、現場監督のように作業を行っていた。新母屋の基礎工事や、骨組み、柱の建てつけや配線工事まで、大工に劣らぬほどの知識の持ち主であった。
そうしたアメリカ人男性におよそ共通するのは、日曜大工が大きな趣味の領域を占めている点で、楽しそうである。ホームセンター等で買ってくるのか、様々な道具や機械を揃えていて、まるでおもちゃで遊ぶかのように作業を楽しんでいる様さえある。日曜大工ができない男性は格好が悪い、というような雰囲気をよく感じ、隣人や妻から「男のくせにそんな事もできないのか」と思われている気さえする。
日本だと、週末は仕事疲れの体を休めるために寝だめしたりごろごろしたりするかもしれないし、幼い頃から父親や祖父、叔父などからそうした日曜大工の様々なノウハウを、アメリカでのそれほど教えてもらえなかった環境にあったのも原因しているかもしれない。それは小さな庭や、マンションで暮らす人が多いという日本の住宅事情も関連していると思うが、私も小さい頃から父等から日曜大工を教えてもらった記憶は一切ない。両親は車自体持っていなかったのもあるし、洗濯物を干せばそれで一杯、というほどの庭しかなかったのも、私がこの年でも素人同然の知識しかない原因の一つと思う。
そういうわけで、ここアメリカで暮らすと、隣人たちは家の修理工事を自分でどんどんしたり、美しい景観をもつ庭を自分で造ったり、様々な工具や機械を揃えていたりする事が多いので、私だけ取り残され浮いている感じさえする。水が詰まったり電気のスイッチが入らなくなったりすれば、お金を出して業者を呼ぶ。妻も私と同じくそういう事には全く無知なので、業者に電話する時も「そんなくらい自分でできると思うが。。」などと言われながらも来てもらう。そしてほんの5分くらいで修理が終わり、50ドルです、等と言われると、くっそー、と思うが、どうも強い動機が湧かないせいか、未だ素人の域を出ない情けない状態が続いている。