自然に囲まれたNY北部に住む日本人が、現地の習慣や価値観等、日本とのあらゆる違いを紹介します。アメリカ留学、移住、旅行等、アメリカに興味のある人向けです。

ターミネーター集団が走る夏

私が住むNY北部は、気候は北海道に大体近い。冬はしばしば吹雪が起こり、積雪量もかなりある。だが春から秋にかけて、暖かくなると、短い夏を楽しもうとある人々が登場する。ライダー集団である。
ナンバープレートを見る限りNY州なので、近隣に住んでいる人々だと思うが、たいてい5人から10人程度のバイク集団で道を走るのを、夏の特に週末に頻繁に見かける。
NY北部は日本と違い、滝のような汗をかくことは滅多になく、暑い日でも割りと過ごしやすい。そして森林が多く、どこまでもまっすぐ続くような道が多く、ドライブは気持ちがいい。田舎なので道も空いていて、平日のラッシュアワーを除けば渋滞はない。Interstateである、大陸横断の高速を除き、全てのハイウェイは無料だ。ライダーたちには走りやすい地域だと思う。
そして彼らのいでたちは、ほぼ共通して黒尽くめの服である。皮のジャンパーやベスト、皮のズボンとサングラスで、ターミネーターがバイクに乗っているような連中が10人程度隊列をなしてドライブしている感じである。またほぼ全てがアメリカンバイクであり、ドドドドッと低音の聞いたエンジン音を撒き散らしながら走る。映画イージーライダーの曲の、Born to be wildが彼らのテーマ曲のような気さえする。
皆で純粋にドライブを楽しむためか、猛スピードは出さず、トラックのように他の車を先に譲ってくれやすい。年齢は大体が中年で、10代、20歳代の人はあまり見かけない。多くが40,50代の男性で、プロレスラーのようなイカツイ風貌に、髭を伸ばしている。二人乗りをしているのはたいていその妻か恋人のようで、彼女たちもまたターミネーターの女性版のような恐々しい雰囲気を醸し出していることもある。
彼らが昼飯などでレストランに立ち寄った際、当然駐車場にもアメリカンバイクが10台ほど駐車され大変目立ち、店内でも黒尽くめのレスラーのような連中が数テーブルを占拠するのですぐ分かる。だが彼らはそういう服を着てそういうバイクに乗って、純粋にそういう時間を楽しんでいるのであって、周りに迷惑をかけるのを楽しむような輩ではない。彼らの運転や店内での態度を見ているとかなり紳士である。