自然に囲まれたNY北部に住む日本人が、現地の習慣や価値観等、日本とのあらゆる違いを紹介します。アメリカ留学、移住、旅行等、アメリカに興味のある人向けです。

アメリカの弁当とは?

アメリカ人が作る弁当は、正直言って貧相だ。ちゃっちいというか、簡単で、日本の奥様方が作る芸術品に近いデコレーション弁当に比べれば、天と地のほどだ。私の妻も、まれに作ってくれるが、典型的なアメリカ人の弁当である。もちろん、作ってくれることに対しては大変感謝しているわけだが、日本で私の母親がよく作ってくれたような、数品目、時に10品目ほどある彩り豊かで栄養ある弁当を食べ育っただけに、アメリカの弁当はなんじゃこれは?と言うほどの質素ぶりだ。
例えば、ジャムだけのサンドイッチが2枚だけとか、りんごそのまま1個だけとか、小指ほどの小さい人参数本と、ヨーグルト1個だけとか、シリアルバーやチョコレートバー2, 3本だけとか、バナナ2本だけとか、昨日の夕食の残りを詰め込んだだけとか、冷凍スライスピザ2片だけとか、ポテトチッブス袋ごと1個だけとか、大変質素な「弁当」を作る人も結構いる。丁寧な弁当を作る人もいるものの、これらは金がないから、というよりは、弁当とはそういうものだ、と思われている節がある。
なおドリンクはペットボトルに入った水か、ペプシかマウンテンデュー等の甘ったるいものが多い。これら弁当の準備は1, 2分程度でできるものが多く、子供の健康を考え手間暇かけた日本の芸術弁当とはレベルが違う。
ハワイにいた頃は、日系のスーパーなどで買える弁当は日本のそれとよく似ていたが、今住んでいるNY北部では、スーパーに弁当らしきものはあまりない。日本にあるような惣菜コーナー自体ない場合が多く、なんとか弁当としてそのまま買えそうなものは、小さい人参、セロリ、ミニトマトがいくつかとディッピングソースが入っているパックのものや、2, 3種類の味が選べるクラッカーセット程度だ。日本のそれと比べた際、弁当の中身だけでなく、それでまかり通っている彼らの弁当に対する価値観にも驚く。
栄養豊富で、見栄えも味も良い日本の弁当は、世界に誇るべき芸術品ではないかと、アメリカ永住しながらひしひしと感じるのである。