自然に囲まれたNY北部に住む日本人が、現地の習慣や価値観等、日本とのあらゆる違いを紹介します。アメリカ留学、移住、旅行等、アメリカに興味のある人向けです。

年を取って新しい音楽を聴くということ

年を取ると流行っている音楽を聴かなくなりがちだ。若い頃は、音楽を聴くことが生活の大きな部分を占めていて、様々なアルバムを買い、流行の曲を次から次へと聴いていた。周りの友人達と知らなかった音楽を教えあい、相当聴いた。
だが今となっては、聴くのは若い頃聴いたそれらの曲がメインである。そういう曲は、あの頃にタイムスリップできるような気がして、当時の自分やしていた事や当時の恋人など、その曲を初めて聴いた頃の風景や記憶も甦る。曲それ自体を楽しむだけでなく、そうしたプラスアルファの特典がついているようで、それはそれで心地よい感覚はある。
だがいずれ飽きてくる。33歳をピークに人は新しい音楽を聴かなくなるなどという研究が発表されたくらいである。曲が増えないから、自分のプレイリストは知り尽くしたいつもの昔の曲で、新鮮味がない。かといって流行りの曲は、多くは恋愛を歌った10代20代向けが多いので、今の自分と立場や価値観が違うし、昔のようにその曲と今の自分がシンクロするような境遇でもなくなった。陳腐な低レベルな曲がよく売れるものだ、と思ってしまうこともあり、ああ自分も変わったな、と思う反面、どこか寂しい。昔のように歌をどんどん知りたい気はあるからだ。
昔よく聴いた歌手がまだ現役で曲を出しているのなら、自分を同じく年を重ねただけ、曲も今の自分に割ととっつきやすいと思うが、なかなかそうも行かない。私のようにアメリカに永住してしまっていては、日本の曲を知る情報減が更に少なくなりかねない。また妻と私の音楽の嗜好は全く違うので、妻を情報源の一つとする手段はない。
たまにおおっこれはすごい!、と思うような曲や歌手に場当たり的に遭遇することはある。それは宝探しのようで、昔ならCDショップですぐ気に入ったり興味のあるCDを見つけられたが、今はその確率はかなり低くなった。
一方で若い頃あまり聴かなかったクラシックやジャズをよく聴くようになった。車に乗る時もクラシックFMをよく聴いている。なぜか心地よく入ってくるからだ。だが歌はたいていないので位置づけはBGMに近く、やはり心に響く歌ものが聴きたい。以前80歳を越える妻の祖父の家に行った際、1940s BestというCDが置いてあり、なんとなく分かる気がした。そうなりたくはないが、将来私もそうなりそうな気がして、想像するとあまり楽しくはない。