日米の価値観
例えば日本のテレビドラマや人気の曲などの多くは、そのテーマや背景がどうも悲しく暗く、叶わぬ恋や失恋、あがいてもどうにもならない状況や世の中などがベースになっているものが多いように思う。そしてそうした辛さを共感し、中には苦労や悲しみにむしろ身を置くことが居心地がいいと無意識で感じている人が多いかのようだ。日本のヒット曲は、マイナー調やsus4コードの哀愁を醸し出す寂しい曲が多い気がする。
アメリカでは、テレビドラマではそういう類はまれで、アクションものやバンパイアもの、コメディーものなどハリウッド映画さながらで、寂しさに共感したりお涙頂戴的なものはあまりなく、悲しみや辛さに身を置くのではなく、苦難を切り抜けスカッとさせてくれるヒーロー的なものが多く、切り口やテーマが日本のものと大きく異なる。アメリカの人気の曲でもだいたい同じで、寂しさ、悲しさを歌う情緒漂うものはヒット曲でそれほど多くない気がする。
それは年配の日本人になればより当てはまりそうで、昔で言う臥薪嘗胆や、あきらめません勝つまでは、や、仁義、誠、武士道と言った、苦しいけれど歯を食いしばって頑張ろう、的な考えや、悲しみに共感しようとする節がありそうな気がする。私の高齢の母のように涙もろいと言うか、誰かの置かれた悲しく辛い状況に親身に付き合い共感してあげるようなところがあると思う。
アメリカで見てきた限り、そういうタイプの人は少なく、高齢者でも若年者でもいたってドライで、いつも冗談を言おう言おうとする性格の人たちで、そこに明らかな違いがある。アメリカ人も悲しみや辛さを人と共感することもあるが、それはまれで、たいていドライでさらっとしていて次の日にはけろっとしている様なところがある。葬式でも人が集まればいつものようにジョークや笑いが起きる。そしてテレビや音楽などはあくまで娯楽であり、楽しくかつ笑わせてもらわないと、とベースで考えているためか、寂しく悲しいものは少ないのかもしれない。