英語の嫌な言葉に、I don't know.があると以前書いたが、別にまだある。それはYou know what I mean?(またはYou know what I'm saying?)だ。時々これを連発するアメリカ人がいる。私の経験では黒人に多い気がするが、多用する人はとにかく頻繁に使い、一文に一回入れてくるほどだ。日本語で言うと、「言ってる意味分かる?」なので、複雑で理解するには難しい場合、意味分かる?、と助け船を出してくれる訳で、分からない、と返せばゆっくりと噛み砕いて言い直してくれることになる。
基本的には親切心でその言葉を言ってくれているのでありがたいのだが、しばしばそう思えない使い方をする人がいる。つまり、リズム取りで使うような人がいる。まるでラップでも歌っているかのように、ベラベラ話した最後にYou know what I mean?とつけてくる。別に難しくもない誰でも分かるような事を言ってきても、語尾にその言葉をつけてくる。リズム取りなら、日本語でいうところの、はっきり言って、要は、えーっと、正味の話、などあるが、これらも別にいう必要はない。話し手のくせと言うか、スムーズに話すためのリズム取りである。
厄介なのは、You know what I mean?が疑問文であるため、分かっているかどうか一応聞いてきているので、聞き手は、はい、かいいえで答えねばならない。いちいち聞いてこなくても分かってるよ、という単純な内容でも返事をしなければならないのは鬱陶しく、そこで話の主導権が話し手にどんどん移っていく気がする。主導権が移る、という事は、向こうの好きなリズムで話がより展開されやすく、You know what I mean?がその後も出てくる可能性が高まる。分かる?分かる?と何度も聞かれると、頭でリズム取りや親切心と分かっていても、バカにされているかのように感じいらいらすることもある。ラップのようにあまりにも言葉の端々につけてくる人に対しては、いちいち返事に付き合う気が失せ、返事をしないか、And?と話の続きを急かすかもしれず、できるなら話を切り上げるかもしれない。
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アメリカの高校、大学の卒業式はどのようなものか書いてみる。だいたい授業が終わる5月末か6月頃に行われ、学生はガウンに四角の角帽をかぶって卒業式に出る。一般的な卒業式では、体育館か芝生のある運動場で行われる。暖かい時期なので、屋外の運動場で行うことが多い。保護者も見に来る。校長先生からの話、主席、副主席の学生からのスピーチがあり、時に会社社長やプロスポーツ選手、作家などの著名人がゲストスピーカーとして出ることもある。とても和やかで楽しい雰囲気で、日本の厳粛な堅苦しい雰囲気はあまり感じない。
そしてアメリカ国歌斉唱し、卒業生一人ひとりに校長先生より卒業証書を手渡していく。自分の子供が呼ばれたら声援を送る親御もちらほらいる。呼ばれた本人自体、バク転して舞台に上がったり、ガウンの下に隠していたコスプレをさらけ出し登壇して、笑わせたりする学生もいる。これらが終われば卒業式はとりあえず終了で、角帽を一斉に空に投げる。卒業生の数によるが、数百人規模でここまで数時間かかる。そこから友人、教師、家族らとの写真撮影がだらだらと続き、仲のよい者同士や家族などで夕食を食べに行ったり、パーティーを開いたりする。
卒業式での曲であるが、吹奏楽部や軽音楽部などによる音楽演奏があるが、日本のように湿っぽい曲ではなく、明るい将来に向かって頑張るぞ、的なノリのよい曲が多い。卒業生達が歌うこともあれば、聞くだけの事もある。興味深いのは、卒業式定番の曲、というのはアメリカではない。日本で言う仰げば尊し、旅立ちの日に、贈る言葉、のような卒業シーズン、卒業式に皆で歌う定番曲がない。同時に湿っぽかったり悲しさが漂う曲は演奏されない。国民性の違いなのだろうが、もし演奏されても、ダンスしたくなるようなアップテンポの曲が多い。例えば、妻の卒業式には、ミュージカルのLetting goや、Green dayのTime of my lifeなどの明るい曲が演奏されたと言う。涙というより笑顔やジョーク、パーティー的雰囲気が満ちるアメリカの卒業式である。 Read More......