バイリンガル同士の会話で興味深い事
どちらの言語を母国語として育ったか、その環境によるだろうが、彼らの多くは母国語がスペイン語だ。そして個人的には、スペイン語のほうが英語よりも抑揚が大きく感じる。イタリア語にやや似た、歌を歌っているかのような音程差、強弱差がある口調で、とてもよく聞こえてくる(それに比べ日本語のデスクは大変静かだ)。
彼らが何を言っているのかはさっぱり分からないが、近くで仕事をしているといくつかの単語の意味が分かってくる。満員電車で隣の乗客達の話を聞くようで、全く聞きたくはなく、言い換えれば仕事の効率を邪魔するほどよく飛び交い気が散るのだが、ふとした時に彼らの話を聞けば、少し面白いことが分かる。 彼らの大半はスペイン語が母国語であるが、彼らだけで会話をする時は、スペイン語だけかと思えば、時々英語も使っている。海外に住む日本人が会話をすれば、そのほとんどが日本語によると思われる一方、私の職場では彼らは割りと英語を使う。彼らが話をすれば、突然英語になる。そこは私もよく分かる。と思えばまたスペイン語に戻る。遊んでいるのか、と思う瞬間があるが、そうではない。聞けば、ベースは母国語で、場合により言いやすいほうの言語で話しているという。イメージは、車の運転していて、そのスピードを落とさず進むように、ある話やある単語を言おうとした一瞬、英語スペイン語両方が喉まで出掛かれば、先に出た方を発する、というわけだ。
スペイン語で話し続けていても、ある言葉を言いたい時に英語でひらめいたなら、一瞬止まって意固地にスペイン語での単語を思い出そうとせず、出てきた英語で走り抜ける感じだ。 特に彼らを見ていると、人の話を聞け、と言いたくなるほど、それぞれが機関銃のようにべらべら話し続ける。言った者勝ちのような感じがあるので、もたもた話して主導権を取られたりしないように、またご丁寧に母国語のみで話し続ける必要もないのか、とにかくうるさい。今日もまた、彼らのマシンガントークで気が散るオフィスに向かう。