自然に囲まれたNY北部に住む日本人が、現地の習慣や価値観等、日本とのあらゆる違いを紹介します。アメリカ留学、移住、旅行等、アメリカに興味のある人向けです。

アメリカの芝刈り

アメリカの一軒家は、たいてい広い庭がある。私が住む郊外に行けばそれはより顕著になる。そして庭には、芝が広がっている。特に春になり暖かくなってくると、その芝が青々と美しく萌える。広い庭に芝生があると、気持ちにゆとりができる。隣家との間隔も日本のより大きい。天気のよい午後に庭の椅子に横になっていると、本当にのどかで、爺さん婆さんのように昼寝をしたくなってくる。
そして芝生があると必ずせねばならないのが芝刈りで、芝刈り機はエンジンの音が大きい。モトクロスバイクのエンジン音のようで爆音だ。これが天気のよい午後は自分の家のものだけでなく周辺の家々の庭からも聞こえてくる。
それはまるで、日本で言う田植え機の音や、ガタンゴトンと鳴る電車の音、通りの雑踏の音、せみの音等が、慣れてくると心地よく聞こえてくることがあるように、芝刈り機の音もそう感じることがある。何もない平和な午後に、芝刈り機の音が遠くから聞こえてくると子守唄のように感じることもある。
同時に、自分の家の芝が伸びてきているならば自分もそろそろしなくては、と気づく合図にもなり、まるで近所で布団をパンパンとベランダで叩いている音を日本で聞くのにも似た感覚にもなる。自分の家の芝だからと、伸ばしっぱなしはできない。近所やコミュニティーから苦情が出てくるからだ。
私が住む地域では、芝刈りは大体4月頃から11月頃まで行い、それを約週一回ペースでやる。25mプールが何十個も入るような数エーカーの庭のある家は大変だが、一般的な家の庭、25mプール数個分程度の庭だと一回1時間から2時間位芝刈りにかかる。椅子に座るトレーラータイプでなければ結構重労働であるが、終わった後は美しい芝生が広がり、草いきれのにおいもいい。個人的に、アメリカの芝は割と平和でのどかな象徴に近いものがある。