アメリカでも日本と同様、国内旅行や帰省をする際は車を使う人が多い。しかし特徴的なのは、アメリカ人の車による旅行は、その距離と時間が大変長い。
東京―大阪が500kmだとすると、アメリカ人は倍以上の1000kmや、2000km離れた距離の目的地へも、飛行機でなく車で行く人がたくさんいる。
私の回りでも、デイトナのカーレースを観に、NYからカンザス州まで自分の車で行く友人もいるし、週末にNYからBostonやWashington DCまで車で出かけていたと言う仕事の同僚や、冬に避寒としてNYからフロリダの別荘へ車で向かう親族もいる(昔彼らは休憩する時間も惜しく、交代で運転し、トイレは車内の空のペットボトルで済ませたという無茶苦茶な例ではあるが)。2, 3日休みが取れれば、隣の州や、Boston, New York Cityなど500km以上ある距離を小旅行として車で移動する人は思いのほか多い。
なぜアメリカ人はそんな長距離を、飛行機でなく車で移動するのか、理由はいくつかある。まず車移動のほうが圧倒的に安い。高速道路と言っても、その大半が無料だ。そして有料でも、料金が大変安い。100マイル(約160キロ)の距離を走っても、3ドル程度で済む場合も多いので、家族や大人数で行けばいくほど安く上がる。キャンピングカーを車に引っ掛け、遠いキャンプ地や湖畔へ旅行する人も時々見かける。
なお郊外で住む私のような場合、アメリカで電車が通っているのは大都市部のみのため、郊外に出れば交通手段は自家用車かバス、タクシーに限られる。そのためか運転免許と車を所有する率が大変多いように思われ、移動、特に遠距離移動となればまず車、という環境であるのもその遠因かもしれない。
さらにガソリン代も日本のより安い。大体1ガロン(約3.8リットル)で4ドル位であり、1リットルでは90セント、つまり100円程度である。
さらに制限速度は、65マイルで日本の100キロよりもう少し出せる。日本では制限速度100キロの所もあれば60キロもあったり、ころころ変わる事が多いと思うが、アメリカの場合高速の大半が制限速度65マイルで、郊外などの一般道も65や55マイルの場合も大変多い。
そして、アメリカの高速道路はだだっ広く、多くが直線で運転しやすく、渋滞も日本ほどではない。どこを行っても渋滞というわけではなく、都心部を出ればたいてい渋滞のない直線的な道をビュンビュン移動できる。
なので同じ500kmを車で走るにしても、日本よりアメリカの方がより安く、短時間で行ける環境にある。
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アメリカのレストランなどで会計をする際、チップを払うのは習慣化している。相場は合計の15%くらいだが、いちいち計算機を持って正確に出すわけではない。普段私やアメリカ人の親族、友人はどうやって計算してどれくらいチップをあげているか、書いてみる。
例えばレストランで、食事が終わりそうな頃にウェイターが伝票を持ってくる。合計が40ドル20セントならば、10%で約4ドルでなので、それより少し多く、きりがいい5ドルをチップとしてテーブルに置いて帰ると思う(特にタクシーを降りる際などの忙しい時に、合計の15%を暗算するのは面倒なので)。また10ドル紙幣を置いたり、5ドル紙幣ともう2, 3ドル置いて帰るかもしれない。
クレジットカードで支払う場合、きりがいいように、45ドルになるよう、45ドル引く40ドル20の4ドル80セントをチップとして伝票に書き込んで帰るかもしれない。
クレジットカード支払では、45ドル等ときりがいいと、後日の請求書を確認した際に分かりやすく、端数がない分、チップを含めて自分で分かりやすく支払ったのだというサインにもなる。
相場の15%はあくまで目安なので、出したチップが実は12%であっても、17%であっても大したことはない感覚でいる。だいたい15%位を目安にしているだけで、注文した料理と違うものを持ってきたり、ウェイターの対応が酷ければチップはやらない。逆にとてもフレンドリーで、楽しい時間を過ごさせてくれたと思えば、15%とか意識せず、それよりかなり多めできりがいい10ドルや20ドルを置いて帰ることもあるにはある。
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前回の続き。そこで感情的になれば最悪で、KO負けだけでなく人格さえ疑われるほどの烙印を押されかねない。そうならないように、会心の一撃となる決定打を与えない限りは、引き下がらない。だめなものはだめ、とか考えておく、などどお茶を濁しても、TKO負けに似た烙印を押されかねない。しかし揺るがない理由の決定打を浴びせば、たいてい妻や彼らはその後ドライに理解してくれるが。
スポーツでも仕事でも言論でも、相手と戦って勝つということに彼らは何のためらいもないわけで、ある程度の日本人が和を持って尊しと思うように、そんなのはしたないとか、大の大人が、などと波風立てない協調関係を望む日本人とは、根本的に彼らの考え方が違う。
アメリカの学校では、社会や政治などの時間で、議論(弁論)がしばしば行われる。それはまるで検察と弁護士の戦いのようで、死刑、中絶、銃規制、学校にプールを作るべきか、制服か私服か、どんな昼食が適切かなどなど、様々なテーマについて議論し、過去の事例や、重要な根拠となる説明をしたり、反論を反論で返したり、あらゆる視点で議論に勝とうと練習するという。そうして議論に勝つための判断力、発想力、話術なども長けてくる。
そんな議論のベテランであるアメリカ人の妻と言い合いになると、痛いところを的確に突いてくる様な論法で攻めてくるので、妻よりきっとベテランでない私は鬱陶しさを感じ、たいてい議論に負ける。負けてやらねば、その後一日の妻の気分が劇的に悪くなるので負けてやったのだと捨て台詞を吐くのだが、勝者の妻は涼しい顔をするものだ。議論に負けた(負けてやった)後はいつも、ああ日本人はつらいよというような気持ちになり、根本的に協調的日本人気質を持っている私のおかげで夫婦仲はうまく回っているのだ、と自分を自分で慰め、タバコを吸いに外に出かけることが多い。
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アメリカ人と議論になるとよく感じることがある。議論で彼らに勝つのは一苦労である。仕事でも言い合いになれば、彼らの主義主張は的確に的を突き、話の主導権を握り、こちらが尋問されているがごとく話の真意や問題点をバシバシ突いてくる。ある商品の納入が遅れている時などは、原因や背景を明確にし、最も簡単な解決法にたどり着くために猪突猛進してくるかのようで、そんな会議は日常茶飯事である。
家に帰っても、アメリカ人の妻のスタンスは仕事仲間とだいたい同じだ。例えば、妻が歯間ブラシ(デンタルフロス)を子供たちにさせようとしていたので、私はやめさせようとした。すると、いつものように妻がなぜだといらいらした表情で尋問してくる。歯ブラシで取れない詰まった汚れは、これで取るのが効果的なのだ、昔からやってきたし、みんなやっているのだ、90%以上の歯医者もこれをやるよう薦めているのだ、と彼女なりの正論をまくし立ててくる。
私は、それをすれば歯の間に隙間ができ、さらに広がる恐れがある、隙間をあえて作るようなものだから、隙間がないならやるべきではない、毎日効果的なブラッシングをすれば大丈夫だ、などと反論する。しかし妻とのこうした言い合いではたいてい妻の意見は変わらない。次回へ続く。
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前回の続き。ワイキキに住んでいた頃の感想を長所短所とともに書いているが、次は日本のコミュニティーの良さについてだ。
様々な店で日本語を話す店員、日本人医師、日本人弁護士、日本語の新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、日本語学校、日本語の歌がある個室カラオケ、日本風の神社仏閣、日本のTVゲーム店、日本語での運転免許筆記試験などのサービスがワイキキ周辺で受けられる。在留邦人がたくさんおり、日本人向けサービスが充実している。日本語を話す日系3世4世なども多く、仕事仲間以外でも多くの日本人と知り合いになれる。海外に住む同胞同士が助け合うのは自然なことで、色々な有益情報を提供しあったり、行動を共にすることができるのは、海外に住む日本人としては心強い。
一方この点の短所は、仕事の箇所で述べたように、どんどん日本人同士で固まってしまい孤立してしまいかねない点だ。どういう目的や理由で住むかによるが、単に温暖な所に住みたいのであればわざわざハワイに住まなくとも沖縄などでもいい。留学や駐在などいずれ日本に戻るのが確定しているなら日本人同士で常時いても何とかなるかもしれないが、永住となればそうも行かない訳で、英語は絶対必須になる。英語がペラペラでないなら、そうなれるようにする環境を持ち、現地での文化習慣を受け入れ馴染むことも必要になると思う。
私自身、ハワイに戻りたいかと言えば、イエスで、望郷に似た念はある。しかし、総合するとやはり貯金ができないほど相当なお金がかかったのも事実だ。そのせいか、特にワイキキ周辺では旅行者だけでなく移住者の往来も多い気がする。主に経済的理由で、やはり日本に帰る、とかアメリカ本土に戻る、と引っ越し帰って行った友人は多かった。
数十万ドル貯めたら、老後ゆっくりする目的で住むのはいいだろうが、住むに困らない程度のお金か、支出以上の安定かつ高収入が確保されていないと、物価(特に住居費と医療費)が高いので、当時の私と同じくすぐお金の心配をしながら生活せざるを得なくなるだろう。いくら気候が良くても、日本関連が多くても現実的に考えれば、私の場合そんな大金があればハワイに行かず貯金をするか今住む場所の家を増改築するなどし、旅行はより近場なヨーロッパや、ハワイに似たフロリダなどに足が向き、ハワイへは日本へ里帰りする途中に寄る程度になるかもしれない。
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前回の続き。次にワイキキでの仕事についてだが、日本人ならやはり日本語でできる仕事に就きたいと思うが、幸いワイキキでは比較的たくさんの日本語でできる仕事がある。私はワイキキで日系の旅行会社に勤めていたが、顧客はほぼ100%日本人観光客だった。社員も9割は日本人か日系人だった。事務処理等で英語を使う必要が多々あったが、9割は日本語を使っていた。
同じようにアパレル業界、日本食業界、観光業界、美容業界、ホテル業界など、日本人観光客向けのビジネスを中心に日本語スタッフの一定需要はある。外国で日本語で仕事ができ、同僚も顧客も日本人なのは何かと便利であった。
この点での短所と言えば、日本語でできる仕事であっても、それだけでは特殊技能として賃金が高いわけではない。日本語プラスアメリカの弁護士資格や公認会計士、特殊技能の長年経験等ないと、貯金ができるほどの生活はできない可能性がある。
また英語が苦手な人には日本語の仕事は良いが、そのせいで英語がいつまで経っても上達しない可能性がある。ほぼ一日中日本語で生活でき楽なので、英語を話すのを嫌がり、日本人のコミュニティー内にいようと固執してしまう可能性がある。そうした英語を学ぼうとしない、外人と話そうとしない在留邦人をワイキキでたくさん見てきた。
次に住居/物価であるが、私の経験ではとにかく高い。衣食住の食住に費用がかさむ。住んでいたワイキキのアパートは2LDK だったが、月950ドルだったと思う。それがずいぶん前であるので、今はもっと高くなっているはずだ。私達はハワイで家を買いたかったが、高すぎてあきらめた。コンドミニアムでさえ数十万ドルするのは当たり前で、周辺地域で百万ドル以上する家も結構あった。
ワイキキで住むにはコンドミニアムを買う(マンションを買う感覚)か、賃貸のアパート住まいが一般的になるが、どの物件もたいてい高価なため、住居費にかかる月々の支払いは結構な負担になる。
税金、保険、医療費も決して安くはない。ハワイに限った事ではないが、保険に入っていてもちょっと医者に見てもらうだけで結局100ドル程度かかることもあるし、歯医者は高すぎるので、日本に里帰りする際に健康保険なしの10割負担でも日本の歯医者で治療してもらう方が安いこともある。
大雑把に言えばワイキキ生活は東京での一般的な収入より低いが、支出は同じくらいという印象であり、ワイキキかその近辺で在住かつ働く一般的な人々にとっては、この物価の高さは相当頭を悩ませているはずだ。ワイキキは相当な富俗層か、退職金を得た金持ちが住む場所だ、と知り合いが言っていたのも分かる。一部食料やバス代など安いものもあるが、とにかくワイキキ生活は何かとお金がかかった。私達がハワイを出たのは、この物価の高さによるのも大きな理由であった。次回へ続く。
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