アメリカ飛行機欠航の話 その5
わずか1時間のフライトであったが、母曰く日本とアメリカの待遇は、天国と地獄くらいの差だったと言う。伊丹空港に着いてからも、歓迎!と書いた紙を持って母を待っていた ANAの数人の係員が、バス停で見送るまで車椅子の母に付き添い、介助してくれたと言う。
絵に描いたほどの日米航空会社のサービスの差を体験した母であった。以降母は飛行機を怖がり、足腰が余計弱くなった気がする。
シカゴで車椅子が必要と事前連絡していた女性を優先にアシストしなかった点や、欠航後食事の提供含めユナイテッド航空による母への介助は一切なかった点などとともに、一連の内容の苦情を、ユナイテッド航空とANAに同時に英語でメールした。ANAは数日後すぐ、謝罪文とともに母のマイレージに5000マイル追加してくれたが、ユナイテッドは約3ヶ月後になって電話がかかり、マネージャーレベルの者から謝罪とともに、400ドルのユナイテッド商品券を送ると打診してきた。私はさらに交渉して、500ドルのユナイテッド商品券と、総額旅行代金の10%割引券と、機内での有料ドリンク無料券を送らせることで話がまとまった(母が以降アメリカ旅行を恐れているので、当初私の家族4人分の日本行き往復航空券と引き換えだと主張したが)。
こういう結果で決着が付いたケースはまれで、おそらく同じ欠航便に遭った他の乗客の中には、泣き寝入りした人もいたかもしれない。今回の母のケースほどでないにしても、アメリカでの飛行機利用時は、経験上これに似たケースが起きやすいため、私は毎回祈るような気持ちで搭乗するのである。