アメリカ永住権と日本の国民年金
日本に住む母が、私が住むアメリカでの家、家族、環境などを大変気に入り、自分も何とかアメリカに永住できないものか、と私に相談してきた事があった。私としては別に構わなかったが、そのために思いついた最も手っ取り早い方法は、私が永住者からアメリカ市民権に変える、というものだった。
だが弁護士や領事館などにいろいろ相談したところ、晴れて私がアメリカ市民になった後、母が永住権を取るために私が母のスポンサーとなるには、手続きが複雑であるほか一定の財産が必要であるなど、いろいろと規定がある事が分かった。
なかでも悩ましかったのは、私が日本国籍を喪失すると、日本の国民年金を任意加入として以降納めることが出来なくなり、老後受け取れる金額が減る、ということであった。
現時点でどれだけ日本の年金を納めたかによるし、日米社会保障協定である程度の救済処置はあるが、日米の年金共最大値の支給を考えている私にとってそれはやや痛かった。
また母は高齢であり、なにかと病院によく通う。そのための保険代、診察代薬代、大きな病気や入院にかかる可能性は高いので、それをどう工面するか、というのも頭を悩ませた。それ以前に、社交的な人ではあるものの英語が全く話せないので、ほぼ私の家族のみ、という限られた環境でのアメリカ生活もいずれストレスになるのではないか、と察することが出来た。
私自身、日本の年金もアメリカの年金や401k等とともに老後収入の1つに位置づけている点、もしアメリカ国内で戦争になれば私と家族が日本に簡単に帰れる点などを希望していることもあり、母には大変申し訳ないが、私がアメリカ市民権を取ることはやめにした。その代わりに毎年日本又はアメリカで会うことにしている。人により様々であると思うが、そういう訳で私は永住者でアメリカ市民ではない。今後もそうすると思う。